基礎知識>AID(非配偶者間人工授精)
AID
当院は24年前の開院以来AID(非配偶者間人工授精)を行なっています。現時点で日本産科婦人科学会の認定を受けている施設は21医療機関です。当院も当局の認定を受けた施設です。
AIDには高度なプライバシー保護が必要と考え,今日までメディアの取材は全て拒否し,宣伝行為は一切控えてきました。当ホームページでも男性不妊症で触れる程度にしていました。
しかし,この方針が裏目に出て,大阪在住の人が東京の病院を紹介されるといった,患者さんが経済的な不利益を被っている事態が多発していることを知りました。また,電話やメールでの問い合わせもたくさん寄せられています。このため,必要な人に情報を開示する事を目的として,あえてホームページにプライバシーの保護に充分に留意しながら「AID」という独立コンテンツを設けました。
以下,当院の診療実状についてお知らせします。より詳しく知りたい場合はカウンセリングを予約して下さい。
AID 認可施設
社団法人日本産婦人科学会の審査を受けて認可されたAID施設が全国に21あります。認可されていなくてもAIDが禁止されている訳ではありませんが,認可施設には厳しい条件と基準が課せられています。このなかで基も重要なのはドナー(提供者)が夫婦に対して完全に第三者であることが義務づけている点です。御主人の兄弟,父親などの親族の精子は禁止されています。非認可施設では親族の精子を使用していることが多いと見聞していますが(その実態に関しては私は把握していません),私は日本産婦人科学会の基準に賛成です。親族の場合は親族である事が原因になって,各種民事的な問題で,出生に何の責任がない子供が不幸せになる可能性が高いからです。
ドナー
当院のドナーは全て私の母校の独身学生です。医学部の学生をドナーにした理由は守秘の徹底と感染症のリスクを下げるためです。
血液型
ABO型については夫婦の子供として矛盾がないように合わせます。なお,現在Rh(-)のドナーはおりません。ドナーは多数確保していますので毎月同一ドナーであることはまずありません。
料金
認可施設のなかでは最も安い価格水準に設定しています。しかし,「安かろう悪かろう」と思われるのは不本意です。私の施設ではICSI,TESE 等の体外受精を行なっていました。しかし,重症男性不妊症では成功率が低く,最終的にAID を決断する夫婦が多い現状にあります。
このようなケースでは夫婦(特に御主人)は随分悩んだことと思います。このような症例から大きな利益をあげることは不妊専門医として心が痛みます。30年以上不妊症に関わってきた医師としての哲学です。
また,あらかじめ精子を用意していたが患者様の都合でキャンセルとなった場合でも一部の施設で設定されているキャンセル料は不要です。
排卵誘発
人工授精ではクロミッド使用が常識ですが,私は漢方医ですから漢方薬を第一選択薬にしています。クロミッドを6ヶ月以上投与すると,子宮内膜の菲薄化のため,妊娠率が急激に低下するからです。
AIDの日
通常は排卵予定数日前の超音波による主席卵胞最大径から排卵日を予測して決定します。遠隔地の場合はクリアビュープリメラ(簡易コンピューターを使用した尿検査に尿中エストリオールとLH測定による排卵日予測:保険の適応にはなりません)を利用する事もあります。地元の施設で主席卵腔最大径を測定してもらっているケースもあります。
その他の不妊診療
原則として全て保険診療で行います。私のクリニックでは不妊検査をドック形式で自費診療するシステムは採用していません。また本症でも検査と治療を並行して行う通信簿診療を行なっています。この方法ですと,妊娠しなかった原因がよく理解できます。大事なことは妊娠しない原因は毎月異なるということです。
受診の手順
電話でカウンセリングを予約していただき,夫婦で受診していただきます。当院でのAIDのシステムを詳しく説明します。原則として1日1組です。
決定権
AID実施の最終決定者は御主人です。誕生する子供は民法の規定により夫婦の実子になり,親権者は御主人になります。また出生児は御主人の財産,借金,名誉,不名誉を相続する権利と義務が生ずるからです。
凍結精子使用の義務化
2006年からAID に使用する精子は凍結精子が義務づけられました。AIDS(エイズ)感染予防が目的です。提供された日に検査したHIV 抗体(エイズ抗体)が陰性であっても安全とはいえないのです。HIV抗体が陽性になるには少なくとも2ヶ月を要します。このため精液を凍結し,3ヶ月以上を経過した後に同じドナーにHIV検査を行い,陰性を確認して凍結精子を用いてAIDを行えという通達です。確かに安全性は高くなりますが,凍結精子では妊娠率が低下します。また,ドナーが3ヶ月毎のHIV検査をいやがり,ただでさえ少ないドナーが更に減ります。妊娠率の低下に対する対策として体外受精の認可が必要でしょう。
生物的父親を子供が知る権利
最近,メディアはAIDで出生した子供が成人になった時,生物学的父親(ドナー)の知る権利があると盛んに報道しています。しかし,この問題は日本では未だ法制化されていません。私はされることはないと思っていますが,もし法制化された場合は,ただちにAIDは中止します。そして,それ以前に妊娠した患者さんのプライバシーは守秘します。仮に患者さんがドナーを知りたいと希望しても拒否します。私はAIDを行う場合は両親にも秘密にするように指導しています。産まれてくる子供の将来の幸せに繋がると信じるからです。私の哲学に同意してくれた人のみにAIDを行うとにしています。院内でも他の患者さんにAID を行っていることを知られないように配慮しています。

